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2014.02.07 (Fri)

月と地上―ツキノヒカリその2―

 いったい何が起きたんだ。
 もう何度目か分からない言葉を脳内で呟く。

「ん……うぅ……おまえ、だれだ?」
 目の前にいる『月』と認識していた物体は、上半身を起きあがらせてそう俺に問いかけてきた。
 地を這う長い金色の髪は、陽の光で空に浮かぶ月のような独特な輝きを放ち、晴天を取り込んだかのような蒼く澄んだ瞳を携えたまだ幼さの残る顔、それに釣り合いのとれた華奢な身体は、なぜか深紅の着物で包まれていた。
「お前……誰だ?」
 気がつくと俺は同じ言葉を返していた。
「なんだ? 人間という生き物は質問を質問で返すのか? ……そんなのお姉様言ってなかったわよ……どうなってるのよ……」
『月』は小声(こっちまで聞こえているが)でそう言うと、ひょいと立ち上がって両手を腰に当て『無い』胸を軽く張った。
「まあいい。特別に名乗ってやろう! 私は天野宮小月だ。で? お前は?」
「あぁ、俺は境悠希だ」
「ふむ。よし、境。喜べ、今日からお前は私の使いにしてやる」
「お断りします」
「えぇ!? なんで!?」
「いや、なんでって言われても……」
「え? ……またお姉様が言ってた事と違うじゃない……これじゃ帰れないじゃないのよ……」
 小月。という少女はまたぶつぶつと小声で独り言(これもしっかり聞こえているが)を言っていた。
「えっと、小月ちゃん?」
「馴れ馴れしく名前で呼ぶでない! そして子供扱いもするな!」
 うわぁめんどくさいなぁこの子。
「じゃあ天野宮さん? 君は何がしたいんだ? 今の時代誰かの使いになる人なんて殆どいないんだが。というか君は何者なんだ?」
「ふむ。よくぞ聴いてくれた。特別に教えてやろう。お前だけだぞ」
 本当は聴きたくないが仕方あるまい。
 当の天野宮はまた私、偉いんですポーズをとると、スッと息を吸い込んで吐き出すとともによくわからない事を言い出した。
「私は月の御子じゃ!」


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2013.10.18 (Fri)

ツキノヒカリ

 いつの日だったか、月には絶対に触れてはいけない。という教えを耳にした。
 それは昔から伝わる言葉らしいが、意味が解らなかった。
 当然だ。宇宙にある物をどうやって触るというんだ。
 宇宙飛行士なんて夢物語。平々凡々に青春時代とやらを謳歌している俺には縁もゆかりもない話。
 そう思ってた。いや、今も思っている。

 話変わってこの世の中には「神様のいたずら」という言葉がある。
 普段奇跡と言っているそれは、通常起こり得ない事が現実に起きた場合使う。……と認識している。
 して、それでは今起こっている出来事は何という?
 これこそ『それ』に当てはまるのではないか?

 それは何でもない平日の昼下がり。
 都会から遠く離れた田舎に住むどこにでもいそうな学生。
 学校がテスト期間中でお昼で解放された俺はただぶらぶらと川の土手を歩いていた。
 そんな時だった。その『いたずら』とやらを受けたのは。
 周りにいた爺さん婆さんはそれぞれ慌てふためき、騒ぎ出している。
 それもそうだ、あり得ない事が起きているのだから。

  俺の目の前に『月』が落ちた。

 空から突然俺の目の前に落ちてきたんだ。
 ヒュンと甲高い音を立てて目の前に。
 妙? なぜそれが月だとわかるのか。
 宇宙に浮かぶ月が落ちてくるわけがない。
 確かにそうだ。だが、俺は見ていたんだ。
 さっきまで昼間だというのに綺麗に見えていた月がだ。
 それが、徐々に大きくなってきて。
 気がついた時には耳元で甲高い音が鳴っていた。
 正直信じられないが、もう一度空を見上げると確かにさっきまで見えていた月がなくなっている。
 『月』が落ちてきた。本当なら一大事なんてレベルじゃない。神様の『いたずら』どころか神の『裁き』だ。
 だが、俺の目の前に落ちた『月』は――

「ん……うぅ……おまえ、だれだ?」

 陽の光で輝いた金髪の少女だった――。 
23:13  |  おはなし  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2013.09.28 (Sat)

この代わり映えしない地面の先。

私の朝は早い。
鳥がギャーギャー騒ぎ出す頃に目を覚ます、まだ辺りは少し暗い。
本当はもっとゆっくり寝ていたいが、そうはできない理由がある。
アイツには負けられないからだ。
私は、寝床の温もりに泣く泣く別れを告げると、立ち上がり外へ出る。
広々とした石畳の道。いつもここまで出てきて大きく伸びをする。寝床は狭くて伸びができないからだ。
私は充分に体を慣らした後、ある場所へ向かう。
おおよそ二歩分くらいの大きさの石が並べられている石畳を進む。
途中で坂になり、ちょっと早足になりながらも私は立ち止まらず進んでいく。
坂道を降りきると右へ。
すると目的地が見える。
目的地には既にいくつかの影があった。
私は走り出してその影の元へ向かう。

「よう。今日は俺の勝ちだな」
目的地へ着くとすぐに声をかけられた。アイツだった。
「うっせ。まだ始まってないから引き分けだ」
「まあそういうことにしといてやるよ」
苦し紛れの返答にアイツは軽く笑って返す。
その反応が心の端に引っ掛かり、何ともいえないもやもやとした感覚が私を包み込む。
朝からこの気分になると、いつも決まって何かが起こる。今日は一体なにがあるっていうんだ。面倒事は御免だぞ。
『おぉ、今日も集まってるな』
そんな事を考えていると奥から小太りの人間が片手にバケツを持ってて出てきた。
その声が聞こえると、集まっていた者達が一斉に人間の前に集まった。
『おうおういつも元気だなお前等は。今日もいっぱい人を集めてくれよ猫達よ』
そう。私は猫だ。所謂野良猫と言う奴だ。
いつもこの目的地である魚屋で売り物にならない魚や、調理時に出るあらを貰いに来ているのだ。
「ぼっとしてたら遅れるぞ。今日こそアレを捕ってみせるんだ」
アイツが意気揚々と人間の前に出来た人集りならぬ猫集りの中に潜り込む。
私はぼっとその群衆を見つめていた。

もちろんおなかは空いている。いつもはあの中に入って、早くよこせとばかりに声を張り上げている。
だが、今日は何故か入っていこうとは思わなかった。
心のもやもやが邪魔しているのかもしれない。
目の前では既に餌の争奪戦が繰り広げられていた。
代わり映えのしない景色だ。なんて思っていたらふいに大きなあくびが出た。

そこそこ餌が放り込まれてきたのでさすがに動かないと朝飯抜きになってしまうと思ったそんなときだった。人間と一瞬目があった。
『なんだ今日は元気ないな。いつもは先頭切って飛びついてくるのに』
そう言って私の方へ歩いてきた。
目の前で立ち止まった人間は、よっこらせとか言いながらしゃがむと、バケツの中からいつものメインである魚丸々一匹を取り出して、私の顔に近づけた。
このメインディッシュを食べるため、皆朝早くにここに集まっていると言っても過言ではない。
ぺちと鼻にひんやりとした感触といい香りが当たる。
『ほら、今日のメインはお前のもんだ。ほら他の奴らに取られる前に食べちまいな』
そう言って数回魚の頭をぺちと鼻にぶつけてきた。
私はその魚を咥えると、早足にその場を後にした。
18:06  |  おはなし  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2013.08.16 (Fri)

それは、あの数時間前の出来事で

囲まれた。
肉眼では捉えられない。しかし確実にいる。
恐らく合わせて5、いや6か。
相手はこちらが動かない限り動かない。
だがこちらは動かないといけない。
時間が、私にはない。
私の頬を雫が伝う。気温も湿度も高い。状況も相まって息苦しいことこの上ない。
……分はかなり悪いが負けが決まった訳では決してない。諦めてられるか。

まず来た道を戻ることはできない。しても意味がない。それに少し逸れた位置にいる。わかりやすく気配を出している。
後方はこれによって選択肢から除外。
では左右か。
左は未開。気配もある。
深い森で気配を消すには最高の地形。
だがそれは相手も同じ。それに悲しいかなその恩恵は相手の方が大きい。
右はすぐに壁に当たる。これはここまでくる前に当たっている事実からの推測。壁までの距離は微量前後するも間違ってはいないはずだ。
進路選択が絞られるというのは今の状態では致命的だ。
それに……ご丁寧にそっちにも気配はある。
用意周到過ぎやしないかと呆れてしまう。
となると前方か左。
前方は一番気配が濃い。
だが視界が左より開けている。
相手に察知されやすい点により場合によっては避けるべき。だが今回は問題はない。ここまでの行動で判った事。相手は索敵能力が低い。
よって視界の確保という利点しか残らない。
しかし気配が濃い。危険性は高い。
どうする。前か、左か。
どちらも危険性は変わらない。

なら--
少しでも利点のある方を私は選ぶ。
私は錘がついているかのように重い脚を前へゆっくり進めた。

そして、私は宙を舞った。
03:08  |  おはなし  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2013.08.03 (Sat)

輝けるんだ

ぽっかり空いたこころの隙間を
埋めるために出掛けたけれど
輝くブルーの空とは違った
くすんだブルーがそこにいた

何をしようと中途半端で
何をしようと飽きっぽくて
何かをこんなに欲した事は
きっと今まで無かっただろう

ゆったり浮かぶ雲を眺めて
ボクは夢中で土を蹴った

猛スピードで巡る景色に
ボクは一切目をくれないで
ずっと上を向いて走った
あの雲に追いつけるように
猛スピードで流れる景色は
昔のボクが超えたんだ
あの雲にだって追いつけるんだ
くすんだブルーが輝いた気がした
01:24  |  おはなし  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑
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