2017年04月 / 03月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫05月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告  |  EDIT  |  Top↑

2013.09.28 (Sat)

この代わり映えしない地面の先。

私の朝は早い。
鳥がギャーギャー騒ぎ出す頃に目を覚ます、まだ辺りは少し暗い。
本当はもっとゆっくり寝ていたいが、そうはできない理由がある。
アイツには負けられないからだ。
私は、寝床の温もりに泣く泣く別れを告げると、立ち上がり外へ出る。
広々とした石畳の道。いつもここまで出てきて大きく伸びをする。寝床は狭くて伸びができないからだ。
私は充分に体を慣らした後、ある場所へ向かう。
おおよそ二歩分くらいの大きさの石が並べられている石畳を進む。
途中で坂になり、ちょっと早足になりながらも私は立ち止まらず進んでいく。
坂道を降りきると右へ。
すると目的地が見える。
目的地には既にいくつかの影があった。
私は走り出してその影の元へ向かう。

「よう。今日は俺の勝ちだな」
目的地へ着くとすぐに声をかけられた。アイツだった。
「うっせ。まだ始まってないから引き分けだ」
「まあそういうことにしといてやるよ」
苦し紛れの返答にアイツは軽く笑って返す。
その反応が心の端に引っ掛かり、何ともいえないもやもやとした感覚が私を包み込む。
朝からこの気分になると、いつも決まって何かが起こる。今日は一体なにがあるっていうんだ。面倒事は御免だぞ。
『おぉ、今日も集まってるな』
そんな事を考えていると奥から小太りの人間が片手にバケツを持ってて出てきた。
その声が聞こえると、集まっていた者達が一斉に人間の前に集まった。
『おうおういつも元気だなお前等は。今日もいっぱい人を集めてくれよ猫達よ』
そう。私は猫だ。所謂野良猫と言う奴だ。
いつもこの目的地である魚屋で売り物にならない魚や、調理時に出るあらを貰いに来ているのだ。
「ぼっとしてたら遅れるぞ。今日こそアレを捕ってみせるんだ」
アイツが意気揚々と人間の前に出来た人集りならぬ猫集りの中に潜り込む。
私はぼっとその群衆を見つめていた。

もちろんおなかは空いている。いつもはあの中に入って、早くよこせとばかりに声を張り上げている。
だが、今日は何故か入っていこうとは思わなかった。
心のもやもやが邪魔しているのかもしれない。
目の前では既に餌の争奪戦が繰り広げられていた。
代わり映えのしない景色だ。なんて思っていたらふいに大きなあくびが出た。

そこそこ餌が放り込まれてきたのでさすがに動かないと朝飯抜きになってしまうと思ったそんなときだった。人間と一瞬目があった。
『なんだ今日は元気ないな。いつもは先頭切って飛びついてくるのに』
そう言って私の方へ歩いてきた。
目の前で立ち止まった人間は、よっこらせとか言いながらしゃがむと、バケツの中からいつものメインである魚丸々一匹を取り出して、私の顔に近づけた。
このメインディッシュを食べるため、皆朝早くにここに集まっていると言っても過言ではない。
ぺちと鼻にひんやりとした感触といい香りが当たる。
『ほら、今日のメインはお前のもんだ。ほら他の奴らに取られる前に食べちまいな』
そう言って数回魚の頭をぺちと鼻にぶつけてきた。
私はその魚を咥えると、早足にその場を後にした。
18:06  |  おはなし  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2013.08.16 (Fri)

それは、あの数時間前の出来事で

囲まれた。
肉眼では捉えられない。しかし確実にいる。
恐らく合わせて5、いや6か。
相手はこちらが動かない限り動かない。
だがこちらは動かないといけない。
時間が、私にはない。
私の頬を雫が伝う。気温も湿度も高い。状況も相まって息苦しいことこの上ない。
……分はかなり悪いが負けが決まった訳では決してない。諦めてられるか。

まず来た道を戻ることはできない。しても意味がない。それに少し逸れた位置にいる。わかりやすく気配を出している。
後方はこれによって選択肢から除外。
では左右か。
左は未開。気配もある。
深い森で気配を消すには最高の地形。
だがそれは相手も同じ。それに悲しいかなその恩恵は相手の方が大きい。
右はすぐに壁に当たる。これはここまでくる前に当たっている事実からの推測。壁までの距離は微量前後するも間違ってはいないはずだ。
進路選択が絞られるというのは今の状態では致命的だ。
それに……ご丁寧にそっちにも気配はある。
用意周到過ぎやしないかと呆れてしまう。
となると前方か左。
前方は一番気配が濃い。
だが視界が左より開けている。
相手に察知されやすい点により場合によっては避けるべき。だが今回は問題はない。ここまでの行動で判った事。相手は索敵能力が低い。
よって視界の確保という利点しか残らない。
しかし気配が濃い。危険性は高い。
どうする。前か、左か。
どちらも危険性は変わらない。

なら--
少しでも利点のある方を私は選ぶ。
私は錘がついているかのように重い脚を前へゆっくり進めた。

そして、私は宙を舞った。
03:08  |  おはなし  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2013.08.03 (Sat)

輝けるんだ

ぽっかり空いたこころの隙間を
埋めるために出掛けたけれど
輝くブルーの空とは違った
くすんだブルーがそこにいた

何をしようと中途半端で
何をしようと飽きっぽくて
何かをこんなに欲した事は
きっと今まで無かっただろう

ゆったり浮かぶ雲を眺めて
ボクは夢中で土を蹴った

猛スピードで巡る景色に
ボクは一切目をくれないで
ずっと上を向いて走った
あの雲に追いつけるように
猛スピードで流れる景色は
昔のボクが超えたんだ
あの雲にだって追いつけるんだ
くすんだブルーが輝いた気がした
01:24  |  おはなし  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2013.07.27 (Sat)

最後の一球


気が付くと私は野球のユニフォームを身にまとってマウンドの上で立っていた。
均された土、
手と一体になっているかのようなグローブ、その中にあるボール、
私の投げるボールを待つバッターやキャッチャーに球審、
耳を貫く「あと一球」という歓声に優勝という二文字が書かれたボード。
様々な情報が全身から入り込んでくる。
まるで夢のような状況。
キャッチャーがサインを送ってきた。
内角高めに目一杯のストレート。
なぜかサインが理解でき、ボールをぐっと握り込む。
2アウトランナー無しでカウントは3ボール2ストライク。
最高のタイミング。
私はサインに頷く。
ひとつ深呼吸をし、構える。
いける。打ち取れる。
この一球で終わらせる。辛く長かったシーズンを終わらせるんだ。
私は大きく振りかぶり、今までで一番最高の球をミットめがけて投げ込む。
ボールが私の手から離れるその瞬間、私はベッドの上から盛大に転げ落ちた。

17:50  |  おはなし  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2013.07.26 (Fri)

床のせかい

 ある朝床が落っこちた。
 穴がぽっかり30cm。
 僕がのぞくと 出てきた 色々。
 紙やイルカや 何かや 何かが。

 僕は気になり手を入れる。
 すると中はあったかいやら つめたいやらで。
 ぐっちゃぐっちゃとかき回されてた。

 僕はゆっくり手を 戻す。
 だけどその手は出てこない。
『 ココハ イツデモ イッポウ ツウコウ 』
 聞こえた中から ふっと声が。
 それじゃあいっそ入っちゃえ。
 入ると穴はゆっくり 閉じた。
22:56  |  おはなし  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑
PREV  | BLOGTOP |  NEXT