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2013.09.28 (Sat)

この代わり映えしない地面の先。

私の朝は早い。
鳥がギャーギャー騒ぎ出す頃に目を覚ます、まだ辺りは少し暗い。
本当はもっとゆっくり寝ていたいが、そうはできない理由がある。
アイツには負けられないからだ。
私は、寝床の温もりに泣く泣く別れを告げると、立ち上がり外へ出る。
広々とした石畳の道。いつもここまで出てきて大きく伸びをする。寝床は狭くて伸びができないからだ。
私は充分に体を慣らした後、ある場所へ向かう。
おおよそ二歩分くらいの大きさの石が並べられている石畳を進む。
途中で坂になり、ちょっと早足になりながらも私は立ち止まらず進んでいく。
坂道を降りきると右へ。
すると目的地が見える。
目的地には既にいくつかの影があった。
私は走り出してその影の元へ向かう。

「よう。今日は俺の勝ちだな」
目的地へ着くとすぐに声をかけられた。アイツだった。
「うっせ。まだ始まってないから引き分けだ」
「まあそういうことにしといてやるよ」
苦し紛れの返答にアイツは軽く笑って返す。
その反応が心の端に引っ掛かり、何ともいえないもやもやとした感覚が私を包み込む。
朝からこの気分になると、いつも決まって何かが起こる。今日は一体なにがあるっていうんだ。面倒事は御免だぞ。
『おぉ、今日も集まってるな』
そんな事を考えていると奥から小太りの人間が片手にバケツを持ってて出てきた。
その声が聞こえると、集まっていた者達が一斉に人間の前に集まった。
『おうおういつも元気だなお前等は。今日もいっぱい人を集めてくれよ猫達よ』
そう。私は猫だ。所謂野良猫と言う奴だ。
いつもこの目的地である魚屋で売り物にならない魚や、調理時に出るあらを貰いに来ているのだ。
「ぼっとしてたら遅れるぞ。今日こそアレを捕ってみせるんだ」
アイツが意気揚々と人間の前に出来た人集りならぬ猫集りの中に潜り込む。
私はぼっとその群衆を見つめていた。

もちろんおなかは空いている。いつもはあの中に入って、早くよこせとばかりに声を張り上げている。
だが、今日は何故か入っていこうとは思わなかった。
心のもやもやが邪魔しているのかもしれない。
目の前では既に餌の争奪戦が繰り広げられていた。
代わり映えのしない景色だ。なんて思っていたらふいに大きなあくびが出た。

そこそこ餌が放り込まれてきたのでさすがに動かないと朝飯抜きになってしまうと思ったそんなときだった。人間と一瞬目があった。
『なんだ今日は元気ないな。いつもは先頭切って飛びついてくるのに』
そう言って私の方へ歩いてきた。
目の前で立ち止まった人間は、よっこらせとか言いながらしゃがむと、バケツの中からいつものメインである魚丸々一匹を取り出して、私の顔に近づけた。
このメインディッシュを食べるため、皆朝早くにここに集まっていると言っても過言ではない。
ぺちと鼻にひんやりとした感触といい香りが当たる。
『ほら、今日のメインはお前のもんだ。ほら他の奴らに取られる前に食べちまいな』
そう言って数回魚の頭をぺちと鼻にぶつけてきた。
私はその魚を咥えると、早足にその場を後にした。
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