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2011.12.22 (Thu)

ちいかみ5話(ちょっとだけ)


離れてく。

まだ離れたくない……。
まだここにいたい……。

これは何?
これは夢?
それとも現実?

ねぇ、誰か……。
誰か……。


「うーあついー」
 地界では、先週辺りから蝉が鳴き始め、本格的に夏の始まりを告げていた。
 この地域でも、夜になっても温度があまり下がらず、過ごし辛い日々が既に続いていた。
「ねぇーこのマントは羽織ってなきゃだめ? 熱がこもって暑いんだけど……」
 死神のサキは黒い仕事用のワンピースに黒いマントを羽織っている。
「一応仕事なんだから羽織ってなきゃだめだよサキ。あー冷たくて気持ちいいー」
 サキの使い魔であるユキは、真っ白の毛が汚れるのも気にせず、コンクリートの床でべったりとうつ伏せで体を冷やしている。
 二人がいるのは、とある建物の屋上。
 物などは無く、端にちょっと錆びている階段があるだけ。
 サキの仕事は、天界から地界へと降りてきて、対象の魂を持って帰ること。
今回もそう。
今は暗くなってきたので、低い建物ばかりのこの地域で、一件だけある三階建ての建物の屋上で辺りを見回しながら休憩をしていた。
「なんで今日は風が吹かないんだよー」
 そう言いながらサキはその場でくるくると回り始めた。
 遠心力でマントがふわりと舞い上がる。
 それにつられるようにして、マントの中のワンピースもふわりと舞い上がった。
「危ないから気をつけなよサキ」
「大丈夫、大丈夫っ♪」
 ユキの注意をさらっと聞き流し、くるくる回る。
「気持ちいいけどー……あう……ちょっと目が回った……」
 暫くするとサキは目が回ったようで、その場に両手を体の後ろでついてへたり込んだ。
 その時だった。
 サキがへたり込んだ反動で、頭を後ろに反らした時、サキの後ろに見知らぬ女の子がいたのだ。


不思議な感覚だった。
 まるで宙に浮いているような感覚。
 ふわふわとしていた。
 今までに体感したことの無い感覚。
 それもそのはず。

 私は――。

「宙に浮いてる……よねやっぱり」
 本当に宙に浮いているのだから。
 なぜ浮いているのか私は知っている。
 だって……。
「死んだんだね、私……」
 私、水城和子(みずしろかずこ)は死んでしまっているのだから。
 どこかで、死んだら死神か何かが、天国か地獄かに運んで行くって聞いたことがある。
 でも私はまだここにいる。
 この世に未練がまだある?
 それとも単に運び忘れられているだけ?
「……どっちかって言うと、前者だよね」
 一人宙に浮いたままぽつり呟く。
 彼女の姿はもう他の人には見えない。
 それは彼女も分かっていた。
 彼女の声はもう他の人には聞こえない。
 それも彼女はわかっていた。
 すべて試したから。
「まあ連れて行かれなくてよかったって思わないとね」
 私にはここにいなければいけない理由がある。
 親友の砂川優芽(すなかわゆめ)が出場する部活の大会を観ないといけないのだ。
 約束したから……。
「それまでは連れて行かれないようにしないと」
 友達からは揃って『とろい』と言われている私。
 私自身そう思っている。
 その為、必要以上に警戒していたお陰か、この二日間死神っぽい物に出くわしていない。
「そもそも死神って本当にいるのかな?」
 確かに今まで空想上の生き物でしかなかったし。
「見てみたい気がするけど、優芽(ゆめ)ちゃんの大会終わってからだね」
 そう言うと和子は、文字通りふわふわとした感じで動き出した。

 日が暮れ始めて、辺りは少しずつ闇に覆われ始めていた。
 和子は自宅に戻っていた。
 自宅には母と弟の悠(ゆう)がいる。
 母がちょうど夕食を作っているようで、キッチンにいる。
 そして悠がお皿を出したりと簡単な手伝いをしていた。
「悠が手伝ってるなんて珍しいな」
 普段和子が手伝っているので、悠は手伝っていなかった。
「まあ私がここにいても仕方ないね」
 そう言うと和子は階段を登って行った。
 我が家には屋上があって、私は少し自慢にしていた。
 その自慢の屋上へ向かう。
 とはいえ屋上には何も無く、自慢するほどでもないのだが。

 屋上に着く。
 蒸し暑い空気が体にまとわりついてくる。
 それを振り払うように両手を上げて伸びをした時に気がつく。
 真っ黒のマントを羽織っている女の子と、床でごろごろと転がっている小動物がいることに。
「えっと……どちら様?」
 私と同じくらいに見える女の子が、地面にへたり込んだ状態で、頭を後ろに倒して私を見つめていた。
 私が恐る恐る聞くと、呆然と私を見ていた女の子が急に飛び起きた。
「うえぇぇぇ!?」
 すっとんきょんな奇声を発して驚いた女の子。
 その隣でごろごろしていた小動物もそれに驚き飛び上がった。
 というより飛んだ。
「なんで私達のことが見えるの!?」
 よく分からないことを言っている。
「なんでって、ふつうに見えるけど?」
「ユキ! 私達って今姿出してたっけ?」
 目の前で飛んでいるハムスターのような小動物はユキという名前らしい。
「いや、隠してるよ。というより……」
「ハ……ハムスターが喋って……る?」
 空を飛べて人間の言葉を喋れるハムスターってこの世界にいたんだ……初めて見た。
「彼女魂だよ?」
 ハムスターが変なことを言った。
「へ? 魂?」
 つい間抜けな反応をしてしまった。
 サキが振り返って私を見る。
「え? あらほんとだ」
「だからこっちの姿が見えるんだよ。というかなんで気がつかないのさ……一応仕事中だよ? サキ」
 ハムスターがため息をついている。
「ちょっと何を言ってるのか分からないんだけ……ど?」
 私が尋ねると、サキという女の子が私の目の前までやってくる。
 私と同じくらいの身長。
 きっと150センチくらいかな?
 同じ黒い髪、まあ長さは違うけど。
 肩に触れる程度の長さの私と違い、彼女は腰の辺りまである。
 目の色は同じ茶色みたい。 
「担当に運ばれてないのね……ねえユキ、この子っていつ運ばれる予定だったか調べられる?」
 ふっと私の頬を手で撫でる。
 すると、その手がすーっと上に上がって頭のところまで来て撫でてきた。
 よく見ると、彼女も浮いていたのだ。
「あ……あなたも私と同じ死んだ人間?」
 撫でていたサキの手を両手で押さえて私は聞く。
「え? あー、自己紹介してなかったねっ」
 サキは手を引くと、ニ、三歩すっと後ろに下がって地上に降り、くるりとその場で一回転した。
 黒いマントとワンピースがふわりと舞う。
「初めまして。私の名前はサキ。死神をやってます。そしてそこにいる動物がユキ。私の使い魔さんなのっ、かわいいでしょ?」



こんな感じのお話ですw


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