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2011.10.05 (Wed)

夕日の雫

 このお話を読む前にpixivを登録している方がいらっしゃれば下のURLを別窓で開いてその絵を見ながら読んでみてください。
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=22176217




 あのね……。

 私より数メートル先にいた少女がくるりと振り返った。

 少女は涙を目にいっぱい溜めていた。

 ちょっと離れていてもわかる。

「あのね……、私とっても楽しかった。ほんの短い間だったけど、だけど楽しかった」

 歳相応の声が小刻みに震え、届く。

 真っ白のワンピース。

 それに対照的な真っ黒の布。

 ひと夏だけの思い出。

 その最後の太陽が少女の後ろで辺りを紅く染める。

「きっともうこれから会うことは無いと思う……。だから、最後に言っておこう……ううん。言わなきゃいけないって思ってることがあるの」

 心地よい海風が二人の間を突き抜ける。

 それに引っ張られるように少女の髪やワンピースが靡く。

 幻想的というのはこのことを言うのだろう。

 私は言葉を失い、ただただ少女を見つめていた。

「最初はどうしたらいいのかわからなかった。ここがどこなのか、私は何をすればいいのか、何もわからなかった。でもあなたに出会えた……。あなたのおかげで全部思い出すこともできたし、新しいこともいっぱい知ることもできた。本当にありがとう……」

 この一ヶ月、

 この少女に出逢い、様々なことがあった。

 最初はこちらも何が起こったのかわからなかった。

 家に迷い込んできた少女。

 何も覚えてないと言い出すし、でもいかなきゃいけない所があるとか言い出すし。

「俺も、楽しかった。ばたばたした夏休みは初めてだったから新鮮だったし。こちらこそありがとう」

 心から言えた。

 それを聞くとふっと少女は下を向いた。

「よかった……。そうだ、それとお願いがあるの。聞いてくれる?」

「ああ。なんだ?」

 すると少女は顔を上げてお願いを言った。


    私のことを……

         ―忘れて―


 今日一番の風が突き抜けていく。

 私は何も言えないでいた。

 お願いの事もそうだが、それ以上に私が言い返せない理由があった。

 少女が満面の笑みを浮かべて泣いていた。

 夕陽のせいか気持ちの高揚なのか真っ赤に染まった頬を伝う涙。

 顎で溜まり、雫となり落ちる。

 それが陽に照らされ、美しくも胸が熱くなる輝きを放って乾ききった砂地に吸い込まれる。

 その一連の流れを全て見届ける。

 数秒のはずなのにとても長いものに感じた。

「私はここにいちゃいけない存在……。もう他の人の記憶は消させてもらったの。あなたの記憶も消さないといけないんだけど、どうしてもね……どうしても消せないの……。覚えてて欲しい。忘れないで欲しい。そんなふうに思っちゃってる……」

 嗚咽を必死に堪え言葉を連ねていく。

 笑顔を崩さずに。

「だから、お願い。私を忘れて……。私もこのことは全部忘れるから……」

「そんなこと……」

 うっすら聞き取れるかくらいの声を私はひねり出す。

 その後の言葉に全てを乗せるために――

「そんなことできるわけ無いじゃないか! 無理だ! 無理だよ。本当に楽しかったんだ。今までで一番の夏休みだって自信持って言える。そんな日々を忘れられるわけ無いじゃないか!」

 全てを乗せた。

 どれだけ伝わったかはわからない。

 けど悔いは残したくない。

「そんな……わがまま言わないでよ……。そんな事言ったらお別れできない……じゃぁんっ!」

 そう言うと少女は手に持った布を放り出し、抱きついてきた。

「いやっだよ……わかれたくっないよ……これからもずっと一緒にいたいもん……うわぁぁぁぁん……」

 よっぽど我慢してたのだろう。

 号泣では足らないほど泣き崩れた少女を私は強く、優しく、そっと抱きしめた――




このおはなしはURLにあったあにゃんこ様の夕日の雫を見た時に無性に書きたくなったおはなしです
一目見た時に真っ先に思ったのが別れ。
そして夏でした。
このおはなしは私の考えでつくられたお話なので、あにゃんこ様の本来の考えとは違ってますきっと確実に。
あにゃんこ様勝手な解釈失礼しました。

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